45万件が認定失効した「改正FIT法」とは?

45万件が認定失効した「改正FIT法」とは?

2017年4月に施工された改正FIT法によって45万件が認定失効したことは記憶に新しいと思います。
これは以前のFIT法を悪用して儲けようとする「法の抜け道」をふさぐ事が目的ですが、FITに申し込んだ全ての家・企業が移行手続きをする必要があり、正しく手続きができなければ売電できなくなってしまいます。

ここではFITの仕組みと、改正FIT法での変更点を簡単にまとめています。

FITの仕組み

FIT(Feed-in Tariff)とは固定価格買取制度のことを指し、再生可能エネルギーで発電された電気を10年間(産業用の場合20年間)一定価格で買い取る、と国が保証してくれる制度です。

check!! 再生可能エネルギーとは、太陽光や地熱、風力など永続的に利用できるエネルギーのことで、枯渇の心配が無くCO2の排出もほとんど無いため注目が集まっています。

このFITが施工された目的のひとつに再生可能エネルギーの普及があります。現状では再生エネルギーは石油や天然ガスなど既存のエネルギーに比べてかなり発電コストが高いため、「環境に良い」というメリットだけで導入する人・企業は多くありません。
そのため国が補助をすることで普及を促しています。

普及率が高まれば発電コストが下がり、国が補助をしなくても再生可能エネルギーを選ぶ人・企業が増えてきます。それによって発電コストが下がる正のループが起こるため、このFITによる補助は年々縮小傾向にあります

以下は太陽光発電の固定買取金額ですが、FIT法が導入された2009年と比べると年々値下がりしていることがわかります。

出力制御あり 出力制御なし
2009・2010年 48円 48円
2017年 30円 28円
2018年 28円 26円
2019年 26円 24円

※出力制御とは、発電量が電気需要を大きく上回った時に電気会社が発電をストップさせること。出力制御する機器費用がかかるためその分を買取価格に反映させています。(一般家庭で制御されることはまず無いでしょう)

2017年4月に施工された「改正FIT法」で変わった点は?

改正FIT法は「設備認定」から「事業計画認定」に変わった点が大きな変更点でしょう。

わかりにくいと思うので簡単に説明します。

以前は簡単な手続きで高い売電価格を確保だけしておいて、太陽光の設備が安くなってから導入する「空押さえ」ができました。
それがこの改正FIT法によって円滑に運用をはじめることが求められ、また保守・維持管理や廃棄する際の明確な契約が必要になったため「空押さえ」ができなくなりました。

改正FIT法で45万件が認定失効」とニュースになったのはほとんどがこの空押さえによるものです。

ただし「それなら自分には関係ないな」と考えている方は注意!
改正FIT法で保守・維持管理が義務化されたことで、しっかりとメンテナンスができていない人は認定取り消しになって売電できなくなる可能性があります。

設置業者によってアフターサポートの厚みが大きく異なるため、これから導入しようと考えている方は必ずその業者のサポート力を確認し複数社と比較するようにしましょう。

FITが切れることで起こる「2019年問題」とは

FITの固定金額買取制度は、10年間の期間が設けられています。つまり11年目以降は買取金額の保証はしないよ、ということ。
FITは2009年にはじまったものなので、2019年からFIT切れが始まり「2019年問題」と呼ばれています。

まだ11年目以降の買取金額は検討中で公表されていません。しかし、市場価値が11円ほどであることを考えると、同等かそれ以下の金額まで値下がる可能性も十分に考えられます。
なぜなら1件あたりの発電量が小さく、たくさんの人との契約や手続きで膨大な手間がかかると考えられるからです。

今後も電気代は値上がり、売電価格は値下がりを続けることが想定されます。さらにFIT切れによる売電価格の大幅下落が起こる「2019年問題」も目の前まで迫ってきています。

今後は発電した電気を「電力会社に売る」のではなく、「自宅で消費する」方向にシフトしていきます。そのためにも太陽光で発電した電気を貯めておける蓄電池を導入することも検討しておくべきでしょう。